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2009年6月22日月曜日

グリーフケアと地域コミュニティ

 公益社がひだまりの会の会員にアンケートを取った際、「死別後の心の支えになったもの」は「家族」が約70%と最も多く、2番目に「友人」が58%を占めました。驚いたのは、それに次いで「ひだまりの会」というのが48%という数字。私はこの結果を見て、「ひだまりの会」の意義の深さを顕著に物語っていると思いました。
 もちろん、私もまだ深い活動内容について熟知しているわけではありません。なぜ見知らぬ者どうしに遺族会が、かくも心の支えとなるのか。その秘密を探るべく、7/18の廣江さんのご講演がよりいっそう楽しみになってきました。
 公益社のさらに興味深い取組みは、おひとりさまの生活支援です。遺族の方が今度は「おひとりさま」になって、自分自身の明日への準備の必要が生まれます。そういう方にも、月例会で講演を行い、準備しておくことなど、グリーフケアとはまた異なる学びの場を設けられています。心の持ち方や活動が「ゼロからプラス」になられた方を廣江さんは「卒業生」と呼ばれていましたが、それらの方が自主運営するOB会サロンが設立され、今では会員50名を超えるといいます。それらの方々は遺族会を通して、これからを生きる意味を見出したといえるでしょう。
 「ひだまりの会」の将来像にはいろいろな可能性がうかがえます。家族や地域社会が遺族の悲嘆やその後の生活を支えにくくなっている現状では、その補完システムとして近親者以外のサポート体制にも必要が出てくることでしょう。
 廣江さんは、「ひだまりの会」のような遺族どうしによる相互扶助の関係が、やがて高齢化・孤立化する地域コミュニティ全体を支えるのでは、とおっしゃっていました。私は今回のインタビューで、葬儀社のイメージが180度変わりました。ホスピス・緩和ケア病棟でもグリーフケアは整備されつつありますが、医療は遺族のサポートまで手が回りません。むしろ、死を起点としての再生プロセスに取り組む公益社の活動に、地域におけるグリーフケアの新しい可能性を感じました。
 ぜひ7/18にお越しいただき、ひだまりの会の現状だけでなく、今後の可能性についてもご一緒に考えていきたいものです。(浦嶋偉晃)

2009年6月18日木曜日

葬儀社が主催する遺族会「ひだまりの会」

公益社廣江輝夫さんのインタビュー、今回はひだまりの会の活動についてご紹介します。

 公益社では、平成16年より遺族会「ひだまりの会」を発足させ、月例会を毎月第3日曜日に開催しています。その運営の方法についてお聞きしましたが、たいへん興味深いものでした。
 ご遺族の年齢や亡くされた方などを考慮し、6~7人のグループに分け、ファシリテーター(進行役)の方が入り、お互いの体験談を分かち合います。最初は見知らぬ他人同士、やはりお互い緊張し、堅苦しい雰囲気になるのを、大学の研究者や臨床心理士の方々が専門職としてかかわり、ご遺族が自然と交流できるよう雰囲気づくりをされています。
 ご遺族の参加動機は「同じような体験をした人の話を聞きたかった」というのが60%以上を占めていますが、自分と似た体験の人の嘆きを聞き、「自分が一番悲しいと思っていたけど、皆それぞれの悲嘆を抱えていた」と感じ、段々と自分の思いを素直に吐き出せるようになっていかれるようです。
 また当初は遺族の語り合いと専門家の講演が中心でしたが、立ち直りつつある人に新たな楽しみを見つけていただこうと、月例会ではハワイアンダンスのショーで一緒に踊ったり、分科会活動としては料理教室や遠足も実施し、明日のへの生活や人生を豊かにするライフサポートを積極的に進めています。故人中心ではなく、自分の楽しみを見つけられるような支援をし、心の持ち方や活動が「マイナスからゼロ」だけでなく、「ゼロからプラス」に転嫁していけるような活動をされています。



 現在、公益社では、情報誌「ひだまり」と会報「ひだまり通信」を定期的に発行しておられます。当初は会報誌として会員相互交流を目的に制作していますいたが、ひだまりの会の発展と共に広報誌的な役割を担うようになりました。とくに「ひだまり通信」は隔月で発行し、会員へのタイムリーな情報提供に努めておられます。                                          (浦嶋偉晃)

2009年6月15日月曜日

葬儀社の新たな取り組み

 エンディングセミナー「”みとりびと”は語る」(7月18日)の話題提供者・公益社の廣江輝夫さんにお会いする機会がありました。私は最初に葬儀社である公益社さんが独自で「ひだまりの会」という遺族会を作り、グリーフケアの活動をされているという話を聞いて、正直ビックリしました。失礼ながら、葬儀社の生業は「死後」のはずですが、それが何故、いつから、どういうきっかけでグリーフケアを始められて、実際にどのように運営されているのか、興味深い話を伺いました。
 私の住む奈良県には遺族会がありません。いや、そもそも遺族会というものが、昔からあったわけではないでしょう、また、最近耳にするようになったグリーフケアですが、それもとても難しく専門的なもので、実際には臨床心理士やカウンセラーの領域ではないかという認識がありました。
 ところが、廣江さんにいざお会いし、いろいろなお話をお聞きしていくうちに、私の思い込みはつぎつぎ覆されていきます。
 「ひだまりの会」は発足して5年、今は会員の方が450名ほどで、「同じ体験をした人の話を聞きたかった」が理由で参加する方々が半分以上を占めているそうです。もちろん相互には最初は見知らぬ他人同士、発足当初のご苦労もやはり相当なものだったようです。初回の参加者36名が3回目には、3分の1に落ち込みました。
 そこで参加者された方や、または案内書を出しても来られないご遺族に直接電話をしたりして、遺族会に対しどういうニーズを持たれているのかお話を伺ったそうです。
 その中で浮かび上がったキーワードは、「ライフサポート」。つまり「グリーフケア」は悲嘆の癒しだけでなく、これからの人生の創造にもシフトしなくてはならない、つまり「グリーフサポート」と「ライフサポート」は車の両輪のようなものだという発見でした。死別の悲嘆に向き合う「故人中心の生活」から、人生の豊かさに目を向けた「自分中心の生活」への移行をお手伝いすることこそが必要なのだと痛感されたそうです。
 「ひだまりの会」は遺族の方の心の持ち方や活動について、「マイナスからゼロへ」だけでなく、さらに「ゼロからプラス」までのプロセスを考えて活動に取り組んでおられます。
 その具体的な活動については、次回改めて書きたいと思います。
(浦嶋偉晃)