去る3月29日、NPO法人ビハーラ21が開催した「第1回ビハーラ実践研究会」に参加した。
この研究会は、今回より隔月で開催され、毎回、話題提供者より「ビハーラ」についての発表・報告があり、その後、参加者とのディスカッションをし、「ビハーラ」に対する理解、実践の普及につなげることを目的としている。
第1回目の話題提供者は大河内大博さん。大河内さんについてはこのブログの下記を参照頂きたい。
http://mitoribito.blogspot.com/2009/06/30.html
今回は初回ということで、大河内さんより、「ビハーラの展開と可能性」というテーマでビハーラの歴史、理念などのお話があった。
20名ほどの熱心な方が参加していた。僧侶の方が多く、またすでにビハーラの研修を受けた方や、看護師、ヘルパーなど様々な顔ぶれだった。
「ビハーラ」誕生の背景について話があった。欧米型ホスピスは1980年代に入り、日本でも相次いで設立されたが、当時から欧米直入の看取りの在り方ではなく、日本的な看取りが模索されていた。とくに日本古来の仏教を活かせないか、という視点はあったという。
また僧侶自身からは、葬祭仏教を反省し、「いのち」をめぐる「生死」の問題を最重要課題のひとつとしている仏教本来の目的に立ち還るべきであるという声が上がっていった。つまり「生きた命」にかかわっていくことこそ重要でないかという気運があった。
「ビハーラ」の理念と基本姿勢として、①限りある生命の、その限りを知らされた人が、静かに自身を見つめ、また見守られる場である ②利用者本人の願いを軸に、看取りと医療が行われる場である。そのために十分な医療行為が可能な医療機関に直結している必要がある ③願われた生命の尊さに気づかされた人が集う、仏教を基礎とした小さな共同体である(但し、利用者本人やそのご家族がいかなる信仰をもたれていても自由である)。そしてビハーラの活動は仏教の特定の一宗一派の教義に偏ったものではなく、超宗派の活動であり、布教・伝道ではないというのが基本姿勢である。
現状では「ビハーラ」は1986年の「仏教ホスピスの会」がスタートしてから25年かかって、やっと3つが設立されただけである。(うち一つは厚生労働省の認可がおりていない)
やはり仏教者からも「ビハーラ」に対する偏見が大きかったのも確かなようである。
私は「ホスピス」という欧米モデルの死生観を日本向けに衣替えするだけでは充分ではなく、より日本人の死生観に合った「ビハーラ」の形が望ましいと思っている。やはり欧米人と日本人とは死生観が違う。今のホスピスは輸入型が大半のように思われる。
大河内さんは参加者に終末期に宗教者は必要ですか?と尋ねた。皆さん必要だと言われた。私もそう思う。但し「死んだらどうなるの?」というような終末期にある人にも、自分自身がぶれないで答えられることがとても重要だと思う。
この実践研究会は今後、隔月で開催され、次回は5月24日PM6:30からシェアハウス中井で行われる。
「ビハーラ」が今後大きく展開していくには、まだまだ様々な課題があるが、今後、回数を重ねる毎に、もっと深いディスカッションになっていくだろうという前向きな雰囲気を感じさせた。今後が楽しみな研究会であった。(浦嶋偉晃)
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