エンディングセミナー「”みとりびと”は語る」(8月1日)の話題提供者・アットホームホスピス代表の吉田利康さんにお会いする機会がありました。
吉田さんは、1999年に看護師だった奥様を急性骨髄性白血病で、最期は在宅で看取られました。その時のご体験、そして今後の思いについてお話しをお聞きしました。
奥様の死後からインターネットでターミナルの方やそのご家族、そしてご遺族の方に心のケアをはじめられ、「もしもこの病気がよくなるのなら、同じ病気の人の話し相手になりたい」といっていた奥様のご遺志を継ぐ為、ルークトーク(白血病談話室)、CTML(キャンサートーク・メイリングリスト)、メモリアルML(白血病遺族談話室)などで、「鉄郎」というハンドルでネットカウンセリングを行なわれました。
その後、在宅医療にかかわる開業医の方に出会い、ネット外での活動も開始され、日常の視点から、こころのケアを考える講演や執筆活動に取り組んでおられます。
吉田さんに在宅死についてお話を伺いました。
昭和54年を境に、病院で迎える最期は在宅死を追い越し、現在全体の80%以上、これは、世界でも他に類をみない現象といいます。その結果、30年ほど前には当たり前であった、家庭での介護や看取りが姿を消し、同様に家族を支援する診療所も徐々に姿を消していき、ごくわずかが残るだけとなっていきました。
逆に、認知症など根治が難しい病気が増え、がんは二人にひとりがかかります。しかし、政府は入院日数短縮を打ち出し、急性期を過ぎた患者さんは嫌でも、転院か在宅療養を余儀なくされます。現実に急性期病院の平均入院日数は2週間に縮まっており、以前のように最期まで病院に留まるところは難しい。
今、急務なのは家庭介護や看取りの復権です。ここ30年ほど生も死もどっぷり医療に依存してきましたが、元来それらは市民生活の一部でした。吉田さんは、「アットホームホスピス」の場を通して、生活の座から生老病死を見つめなおし、市民の視線から介護・看取りと交流・助けあいを実践していこうと活動を続けておられます。(浦嶋偉晃)
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